カッターヘッド熱処理!
garage nakamuraです。
前回アップしたカッターヘッドを熱処理してみました。
画像を見て頂いて判るでしょうか?
真ん中の針金で吊るしてあるのがカッターヘッドです。
取り出す時に楽に直ぐに取り出せる様に投入前に通しておきました。
肉眼で見るのとはちょっと違って見えるかとは思うのですが、
真っ赤に焼けていますね?
皆さんも焼き入れや熱処理と言う言葉は聞いた事が有るかと思うのですが、
この熱処理と言うのはとても奥が深くて鋼が温度によって色々と組織変化するようです。
今は可也の部分でその謎が解明されているようですが、それでも総てが解明されている訳では無くて、なぜそうなるのか?
専門家の方でも判っていない部分が有るようです。
鋼は熱処理をして初めてその鋼が持つ本来の持ち味が出せると成っていますが、それには色々と決まりが有って、
私が今回やった焼入れも画像のように真っ赤になっていないと入らないようです。
鋼は熱を加えて行くと膨張して行くのですが、その膨張がある温度の辺りから突然収縮に変わる部分が有るそうです。
その温度が大体750℃辺りになっていてこの温度の点をA1変態点と言ってこの温度以上に上がらないとこの後いくら急激に冷やしても焼きは入らないようです。(A3変態点と言うのがもっと高い温度に有ります)
膨張していた物が突然収縮に変わるので変態と言いますが、決して裸の上にコートを羽織って女性の前に行って”えへへ”と言って、ぱーっとコートを広げる人では無いですよ!(^^ゞ
タバコの火が大体650度前後ですから<種類によって若干差が有るようですが
今回の焼けた色を見ると焼きが入る温度になっていると仮定して引き上げるところです。
ちなみに火の入れ物は七輪です<サンマを焼かずに今回はカッターヘッドですが...
で、中に入っているのは木炭です。
これは鋼を焼いている段階で炭素が抜けてしまうのを防ぐ目的と、焼けた鋼の表面に炭素がしみ込んで?少しでも硬くなるようにと考えてやっています。
この後、水に入れて急冷したカッターヘッドがこちらの画像です。
随分と汚くなってしまって写っていますが、シャフト部分はちょっとペーパーを当てれば綺麗になります。
シャフト部分は曲がらずに焼きが入ったのですが、心配していた通り大きく切り込んだ溝の部分から曲がってしまいました...
焼入れは完了したのですが、この後に焼き戻しと言う作業が待っているんです。
焼きを入れた鋼は硬いけれでも「もろい」性質を持っているのでこれを焼入れよりも低い温度で再加熱して焼入れで持ってしまった鋼のストレスを取り除いてやると言えば良いのでしょうかね?
この時に気を付けなければ成らないのは300℃に加熱してしまうと300℃脆性(ぜいせい)と言って逆に「もろく」なってしまう性質を持っているようです。
なぜそうなってしまうのか?と言う部分も未だに解明されていないと聞いています。<私が勉強した頃はと言うことで現在はどうでしょう?
今回私は100℃のお湯戻しと言うのをやったのですが、先にも書いたとおりに曲がりが出てしまって局部あぶりをしてもプレスで押してみても上手く曲がりが直せないでいます...
シャフトを旋盤で加えて再研磨を考えて居るのですが、どうも無理っぽいですね!<私の腕では!(^^ゞ
これは又もう一度作ってみるしか無いかな~と考えて居るところです。
まだまだ勉強が足らないと痛感する今日この頃です。
それでは、この辺で...